第56章 橘結衣もノミネートされた

夜の女子寮は、しんと静まり返っていた。

市川詩織は向かいの橘結衣のベッドをうかがう。しばらく待っても物音ひとつしないのを確かめると、そっと身体を起こし、忍び足で床へ降りた。

隣のベッドには山口愛実。

市川詩織は山口愛実の布団を指先で軽く叩き、囁く。

「橘結衣、寝た」

体感でも、もう1時間は寝返りひとつ打っていない。

死んだみたいに、ぐっすりだ。

山口愛実も、もぞりと起き上がる。ほぼ同時に、安田美波も布団をめくって上体を起こした。

闇の中、3人の視線が眠り込んだ少女へ突き刺さる。目だけが、幽霊みたいにぎらついて見えた。

「ほんと、この馬鹿……あたしたちの言うこと信じたんだ」山...

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